14世紀の世界 ペストとの戦い

14世紀、日本は室町時代である。国際的には大転換期を迎えていた。このころ、ヨーロッパでは黒死病(ペスト)が大流行した。

13世紀 モンゴルの世紀

 13世紀はモンゴルの世紀である。チンギスハンが、東欧から中国全土を征服した。これにより世界はグローバル化した。これにより多くの病原菌ももたらされた。

 一方で、ヨーロッパでは十字軍が行われた。後半はほとんど失敗し、これによりローマ教皇の権威は衰えた。

15世紀 ばら戦争と応仁の乱

 東アジアでは、明王朝で永楽帝が即位。明王朝が成立した。一方で、英仏百年戦争が勃発。有力貴族が没落し、王権が強まった。

各国の歴史

次のページから、10年ごとに14世紀を見ていきます。

年代別①

1300年代 アナーニ事件

トルコでオスマン帝国が建国。

 フランスは、十字軍で疲弊していた。フランス国王フィリップ4世は十字軍を取りやめて教会に課税しようとした。そのため、フランス議会(三部会)を開催し国民の同意を得た。反発するローマ教皇ボニファニウスを逮捕(アナーニ事件)。教皇庁をフランスのアヴィニョンへ移された。

1310年代 元王朝、科挙を復活

 元王朝、科挙を復活。南ロシアのジョチ=ウルスでは、ウズベク=ハンが即位。ジョチ=ウルスは全盛期を迎える。このときに、ジョチ=ウルスはイスラムに改宗する。

1320年代 英仏百年戦争が勃発

インドで、デリースルタン朝のトゥグルク朝が成立。

 モンゴル(キプチャクハン国)の支配下のロシアでモスクワ大公国が成立。フランスで、教皇の呪いによってカペー朝が断絶。ヴァロワ家のフィリップ6世が即位。ヴァロワ朝が成立した。これにイングランド国王エドワード3世が反発。百年戦争が勃発した。

1330年代 鎌倉幕府が滅亡

 日本で、鎌倉幕府が滅亡し、南北朝の動乱が始まる。イブン=バットゥータがインドを来訪。イランのフラグ=ウルスで国王が暗殺。群雄割拠の時代に入る。

バルカン半島で大セルビア王国が成立。

1340年代 ペスト(黒死病)の流行

イブン=バットゥータが大都(元王朝)を訪れる。

  ヨーロッパで黒死病(ペスト)の流行が始まる。中欧ハンガリーにプラハ大学が創設。フスなどが教授を務める。北ドイツではハンザ同盟の商業活動が活発化。神聖ローマ帝国(ドイツ)では、皇帝カール4世が即位。イギリス議会が二院制になる。

年代別②

1350年代 東アジアで海賊活動活発

このころから東シナ海で海賊(倭寇)の活動が盛んになる。中国本土(元王朝)では紅巾の乱がおこる。東南アジアのタイでアユタヤ朝が成立。オスマン帝国、イル=ハン国を滅ばす。このころから、ヨーロッパ(ビザンツ帝国領のバルカン半島)への侵攻を始める。

 ヨーロッパで黒死病の流行がロシアまで広まる。バルカン半島の大セルビア帝国が滅亡。神聖ローマ皇帝カール4世、イタリアへ侵攻。同じ頃、金印勅書を発行。フランスでは、黒死病によって農民反乱(ジャックリーの乱)が発生。

1360年代 明王朝成立

足利義満が征夷大将軍になる。中国本土では、漢民族の朱元璋が明王朝を建国。一方、元王朝はカラコロムへ移動し北元となる。オスマン帝国、アドリアノーブルへ遷都。

 神聖ローマ皇帝カール5世、ウィーン大学を創立。フランスでブルゴーニュ公領が成立。

1370年代 教会大分裂

東南アジアのタイで、アユタヤ朝がスコータイ朝を滅ぼす。中央アジアでティムール朝が成立。

 神聖ローマ皇帝カール4世によって、ローマ教皇庁が復活。教会大分裂が始まる。

1380年代 ロシアがモンゴルに勝利

 オスマン帝国、コソボの戦いでビザンツ帝国に大勝。東欧ロシアのモスクワ大公国がモンゴル(キプチャクハン国)に勝利。東欧北部でポーランドとリトアニアが合併し、ヤゲヴォ朝が成立。フランスでは、シャルル6世が即位。イングランドで農民反乱(ワットタイラーの乱)が発生。イタリアでは、ヴェネツィアがキオッジアの海戦でジェノヴァに勝利。ヴェネツィアは全盛期を迎える。

1390年代 永楽帝のクーデター

足利義満によって南北朝の動乱が終わる。朝鮮半島で李氏朝鮮が成立。中国本土では、北京の永楽帝が軍事クーデター(靖難の役)を起こす。

 北欧では、ポーランドのヤゲヴォ朝に対抗するため、カルマル同盟が成立。中欧ベーメンにウィクリフ説が伝わる。フスらがこれに感銘を受ける。北東イタリアの都市共和国ヴェネツィアが北西イタリアの都市共和国ジェノヴァを破る。フランスでは、皇位継承権をめぐり内戦状態に。イングランドもこの内戦に介入する。