2000年代の東南アジア タクシン政権の功罪

タイ タクシン首相

アジア通貨危機

 アジア通貨危機とは、自国通貨の暴落で、資金が海外へ流出。株や不動産が暴落し、大部分の東南アジア諸国は不況に入った。この不況は、アジアの開発独裁者を退陣させていった。その代表がインドネシアのスハルト大統領であった。

01年 タクシン首相就任

 アジア通貨危機を受けて、民主党政権が崩壊。タイ愛国党のタクシン政権が誕生した。

 タクシン首相は、実業家でシン・グループという財閥を一台で築いた。政策では、麻薬の撲滅、強硬外交があった。最も支持を集めたのが低所得者の救済であった。そのため、貧困層の多い農村部で大きな支持を集めた。しかし、都市部の中間損は、過激な麻薬撲滅運動であまり支持が高くなかった。

 04年、スマトラ沖大地震で、タイ南部で大きな被害が発生。タクシン首相は復興予算を組んだ。

06年 黄色いシャツ運動

 06年1月、タクシン一族への利益供与などが発覚。反対派の抗議活動が起こった。彼らは黄色いシャツを着ていたことから黄色いシャツ運動という。ちなみにタクシン派の人々は赤いシャツを着て活動している。

 06年9月、タクシン首相が国連総会で不在になる。この時に軍事クーデターが発生。新憲法を制定し、軍事政権が成立した。

 07年12月、農村部に強いタクシン派が総選挙に勝利。

 08年2月、タクシン派政権が成立。しかし、裁判所が不正選挙を理由に首相を失職させた。反タクシン派政権が成立した。タクシン派は赤シャツを着てバンコク各地でデモを実施。09年末から10年にかけて、タクシン派と反タクシン派の衝突がバンコクの各地で起きた。これは国際空港をマヒさせるほどのものであった。

 10年4月、暗黒の土曜日事件が発生。タクシン派のデモに対して、反タクシン派政権が武力鎮圧。2000人以上の死傷者を出した。これにより、翌01年、反タクシン派政権は退陣。インラック政権(タクシン派)政権が成立した。

ミャンマー 民主化 or 軍事政権

 00年9月、アウンサンスーチー氏、再び自宅軟禁へ

 02年12月 ネ・ウィン氏死去。

 03年8月、和平推進派政権が成立。民主化へのロードマップを示す。

 04年10月、和平推進派の首相が自宅軟禁。保守派政権が成立。ロー=シンハン氏が中国とのパイプラインを独占契約。

06年10月、新首都ネピドーが完成。

 07年9月、日本人記者の長井氏が射殺される。当時、ミャンマーでは、僧侶を中心とした反政府デモが行われていた。日本人記者の射殺事件で、ミャンマー軍事政府は国際的な批判を浴びた。翌10月、テイン=セイン政権が成立。11年の民主化を約束し、新憲法を制定した。

マレーシア アブドラ首相

 マレーシアは、大陸部のマレー半島とスマトラ島で構成されている。マレー半島とスマトラ島の間に太平洋とインド洋を結ぶ需要な海峡マラッカ海峡がある。

 アブドラ首相は、03年に首相に。08年の総選挙で敗北。退陣した。そのあとに立ったのがナジブ首相であった。

スマトラ沖地震

大津波

 04年12月、インド洋のスマトラ沖で大地震が発生。沿岸部では大津波が発生し、甚大な被害が発生した。

アチェ州独立運動(インドネシア)

 甚大の被害を受けたのが、インドネシアのスマトラ島北部アチェ自治州であった。アチェ自治州は70年代から、独立運動が展開されていた。

 97年にスハルト政権が崩壊。独立への和平交渉が始まった。

 アチェ州は、大津波の被害を受けて独立要求を撤回し自治権の拡大にとどめた。05年、アチェ独立運動の和平が成立した。

タクシン首相の災害対策(タイ)

また、タイでは南部のリゾート地が大きな被害を受けた。これにより著名人がかなりなくなった。この災害対応でタクシン首相は地方の支持を集めた。

東ティモールの独立

 東ティモールは、インドネシアの東にあるティモール島にある国である。

 ティモール島は、戦前は、西側がオランダ植民地、東側がポルトガル植民地であった。西側は宗教に寛容なオランダが統治していたので、イスラム教の侵攻が続いていた。しかし、東側はポルトガルの統治によってキリスト教へ改宗する人が多かった。

 第二次世界大戦時は、インドネシア同様、日本軍が占領していた。終戦になると、インドネシアはオランダから独立。西側もインドネシア領となった。しかし、東側はポルトガル領のままであった。

 70年代、インドネシアのスハルト大統領が東ティモールを併合。

 98年、アジア通貨危機でスハルト政権が崩壊。99年の住民投票で東ティモールの独立が決定。この時、独立反対派は暴動を起こした。10月、多国籍軍が派遣。暴動が鎮圧。東ティモール暫定自治政府が成立。02年2月、PKOが派遣。これには日本も参加した。02年5月、東ティモールは正式に独立した。21世紀最初に誕生した国である。