概要
ここから現代編に入ります。現代の始まりを、ビスマルクが引退した1890年代からとしています。それまで、協調外交を展開していた欧米諸国がガチンコ勝負をしていく時代に入っていきます。
この章では、大戦前の世界の様子を見ていきます。
19世紀末のヨーロッパ
19世紀後半に入ると、第二次産業革命が起こった。産業の中心が、綿織物を中心とした軽工業から鉄鋼などの重工業へシフトした。これにより、企業は巨大な資本を必要とした。それによって、銀行を中心とした巨大企業集団が形成された。日本の三菱財閥や三井財閥もその一例である。
巨大企業集団は、政府に結び付き植民地の拡大を要求するようになった。この政策が帝国主義である。
80年代までは、ビスマルク外交によって平和裏に進んでいた。しかし、90年代にビスマルクが引退するとヨーロッパ諸国が互いの植民地を奪い合うようになった。その中心は2か国である。一つは、当時、広大の植民地を持っていたイギリスである。もう一方は、植民地競争に出遅れたドイツである。この2つの国は、2つの大戦で激突することになる。
また、この頃になると労働者階級が形成されてくる。これにより、社会主義勢力が台頭してきた。これが大戦期のロシア革命につながる。
植民地政策
では、大戦前のヨーロッパ以外の地域はどのようになっていたのであろうか。ここでは、アフリカ、太平洋と中南米の様子を見ていきます。
アフリカは、80年代のアフリカ=コンゴ会議をきっかけに瞬く間に大部分が植民地になった。ファショダ事件やモロッコ事件のように互いに植民地をけん制するようになった。
太平洋も、20世紀初頭までにアメリカ、イギリス(オーストラリア)、フランス(タヒチ)、ドイツ(南洋諸島)、日本などのによって分割された。
中南米諸国は、18世紀前半に多くの国が独立した。これらの国々はアメリカに従属するようになった。
アジア諸国の抵抗
17世紀に栄華を誇っていた4大アジア帝国はどのようになっていたのであろうか。ここでは、中国とインドの様子を見ていきます。
清王朝(中国)は、日清戦争の敗北によって半植民地化が始まった。義和団事件で列強に抵抗するも失敗。大戦直前に辛亥革命が起きて滅亡。中華民国が建国された。
インドは、70年代にイギリス領インド帝国が成立した。ここでは、ヒンズー教徒とイスラム教徒が争うようになった。この争いは現在も続いている。