（前史）絶対王政期の文化
特徴
文化の担い手が、王侯貴族から市民層に変わっていった。
貴族文化の成果を引き継ぎ、広く国民に伝わった。ナショナリズムの影響で、それぞれ言語文化や歴史を重視するようになった。また、芸術によって政治が動くこともあった。
義務教育の導入や新聞などの大衆メディアの登場で文化の広がる速度が速まった。
芸術
古典主義（18世紀末）
規律や調和を重んじる文化。フランス革命やナポレオン戦争をつうじて、合理的な啓蒙思想が広まる。また、フランス革命によって自由を重んじる文化が形成。ナポレオン戦争によって民族意識が高まった。
- 文学 ゲーテ（ドイツ）
- 絵画 ダヴィト（フランス）
- 音楽 ハイドン（ドイツ）、モーツァルト（オーストリア）
べートーヴェン（フランス）
ベートーヴェンの英雄のモデルはナポレオンであった。
ロマン主義（19世紀前半）
理性よりも、個人の感情や意志を尊重する文化。また、民族意識も重要視された。この背景には、革命期の普遍主義や合理主義への反発があった。
- 文学 ハイネ（ドイツ）、バイロン（イギリス）
ユーゴー（フランス）、プーシキン（ロシア） - 絵画 ドラクロワ（フランス）
- 音楽 シューベルト（ドイツ）、ショパン（ポーランド）
バイロンは、ギリシャ独立戦争に従軍。ユーゴーの「れ=ミゼラブル」はフランス革命を描いたものである。ドラクロワの絵画は、ギリシャ独立戦争の義勇軍をあつめた「キオス島の虐殺」、七月革命を描いた「民衆を導く自由の女神」が有名。ショパンは、ロシアの支配下にあったときにフランスのパリに亡命していた。
写実主義（19世紀後半）
クリミア戦争の時代に入ると、絵画の雰囲気が大きく変わる。感情や個性の発揮よりも客観性が重視されるようになる。これが写実主義（リアリズム）である。これは、人間や社会の現実をありのままに描くことが重視された。
- 文学 スタンダール（フランス）、ディッケンズ（イギリス）
ドストエフスキー、トルストイ（ロシア） - 絵画 クールベ
自然主義（19世紀末）
19世紀末には、写実主義が発展。人間の偏見や社会の矛盾を描写する自然主義が台頭した。この時代は、社会主義勢力が力を持ってくる時代でもあった。
印象派
印象派は、自然主義の一派である。外光による色の変化を重視した絵画手法で、フランスを中心に発展した。
科学
哲学
ドイツ観念論が完成。ヘーゲルの弁証法につながった。48年革命では、ドイツのマルクスとエンゲルスが『共産党宣言』を発表。唯物論が形成された。イギリスでは、ベンサムの功利主義が成立。フランスではコントの実証主義が成立。
歴史学
ロマン主義とナショナリズムの影響で歴史への関心が高まった。厳密な史料批判に基づく近代歴史学が始まったのもこの時代である。その第一人者がドイツのランケであった。
経済学
イギリスでは、アダム=スミスの自由放任主義を支えた古典派経済学が台頭した。これを支えたのが19世紀前半に選挙権を獲得した産業資本家たちであった。
一方、ドイツではリストらによる保護貿易論の研究が行われた。同じドイツでは、
生物学
58年、イギリスのダーウィンが『種の起源』で進化論を発表。南太平洋のガラパゴス諸島での探検をもとに発表された。
コッホらによって、細菌の研究が進んだ。これにより予防医学が進んだ。
科学とエネルギー
19世紀になると、化学の研究が進んだ。これにより、石油や電気をエネルギーや原料とする時代を導いた。これが19世紀末の第二次産業革命につながる。
探検
オセアニアと太平洋
太平洋は、16世紀の大航海時代に発見される。
17世紀に入ると、東南アジアに進出したイギリスがオーストラリアの探検が行われる。この探検を行ったのがタスマンである。
18世紀後半には、クックが太平洋探検を行った。
中央アジアと中国奥地
19世紀には、中国奥地や中央アジアの学術研究が行われるようになった。
アフリカ
19世紀後半にリヴィングストンとスタンリーらによってアフリカ内陸部の情報がヨーロッパに伝えられた。
80年代のベルリン=コンゴ会議をきっかけにアフリカ分割が行われるようになる。
北極と南極
極地の探検は20世紀に本格化した。
大都市文化
19世紀後半になると、首都の整備がすすめられた。首都の整備は、国の威信や近代化の成果を示すものであった。その一例が上下水道の整備、道路や地下鉄の整備hがその一例である。
その先駆けが、51年のロンドン万博である。パリやウィーンでも万博が開かれた。
博物館やコンサートホールは、市民文化の成果を示す場となった。これらの情報は、新聞で伝えられるようになった。