なぜ、参議院があるの?

 こんばんは、sekaishiotakuです。いよいよ6月も終わりを迎え、本格的な夏が近づいてきましたね。そして、この季節がくると、私たちの暮らしに直結する大きなイベントが待っています。そう、間近に迫った「参議院選挙」です。今回は、参議院について見ていきます。

日本の国会は、衆議院と参議院の二つの院から成り立っています。衆議院はよくニュースで見聞きするけれど、「参議院ってどんな役割なんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?実は、この参議院、戦後の日本の民主主義を形作る上で非常にユニークな歴史を歩んできたんです。

今回は、参議院がどうやって生まれ、どんな風に変わってきたのか、そして戦前の「貴族院」とどう違うのか、さらには「日本国憲法」とどんな関係があるのかを、分かりやすく探っていきましょう!

戦前「貴族院」と戦後「参議院」:似てるようで全然違う?

 参議院が成立したのは、衆議院と違い、戦後の日本国憲法制定時です。

 まず、参議院を理解する上で避けて通れないのが、戦前の「貴族院」との比較です。「参議院」は、全身の「貴族院」の代わりに設置されたものです。日本国憲法で貴族制度が廃止され、それに伴い、「貴族院」も廃止された。そのかわりの組織として設立されたのが「参議院」です。

貴族院と参議院の類似点

  • 二院制: どちらも衆議院と並ぶもう一つの議院として存在し、法案の審議を行うという基本的な役割は同じでした。
  • 「抑制機能」: 衆議院が単独で暴走しないよう、一度立ち止まって審議する「チェック機能」を持つ点も共通していました。
  • 解散がない:貴族院は、解散がない。任期7年の議員と終身議員で構成されていた。参議院も、これを継承した。終身議員は廃止されたが、任期は6年で、総理大臣でも、参議院を解散することができない。

貴族院と参議院の相違点

しかし、両者には決定的な違いがあります。

  • 選出方法:
    • 貴族院: 皇族、華族(公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵)、勅選議員(天皇が任命)、多額納税者など、特権的な身分や経済力を持つ人々によって構成されていました。選挙で選ばれる議院ではありませんでした。
    • 参議院: 全国の有権者による選挙で選ばれます。誰もが立候補でき、誰もが投票できる、まさに「国民の代表」なのです。
  • 権限と優位性:
    • 貴族院: 衆議院とほぼ対等な権限を持ち、場合によっては衆議院の決定を覆す力もありました。
    • 参議院: 日本国憲法のもとでは衆議院と対等な原則が掲げられつつも、予算や条約の承認、内閣総理大臣の指名など、最終的には衆議院に優越する権限が与えられています。これは、衆議院が国民に解散によって信を問うことができる機関であるためです。
  • 国民代表性:
    • 貴族院: 国民全体を代表する機関ではなく、特定の階層や身分を代表する性格が強かった。
    • 参議院: 「全国民を代表する」ことを明確に謳っており、多様な民意を反映することが期待されています。

「日本国憲法」が参議院に託した願い

 参議院が現在の形になったのは、日本国憲法の制定と深く関わっています。第二次世界大戦後、日本の民主化を進める上で、GHQ(連合国軍総司令部)の強い意向もあり、新しい憲法が作られました。その中で、二院制を維持しつつも、より民主的で、国民の多様な意見を反映する議院として参議院が誕生したのです。

日本国憲法第43条には、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」と明記され、参議院も衆議院と同様に国民が直接選ぶ「国民の代表機関」であることが定められました。

また、参議院は衆議院のような解散がなく、任期が6年で半数ずつ3年ごとに改選されるため、「良識の府」や「冷静な審議の場」としての役割が期待されました。これは、衆議院が政局に左右されやすいのに対し、参議院がより長期的な視点に立って、専門的な知識や経験に基づいた議論を行うべきだ、という願いが込められていたからです。

「良識の府」はどこへ?参議院の歩みと変遷

GHQの意向もあって生まれた参議院は、当初、衆議院とは異なる「良識の府」としての地位を確立しようと努力しました。しかし、時が経つにつれて、衆議院と同じように政党間の争いの場となったり、「ねじれ国会」の要因になったりと、その役割やイメージは変化してきました。

それでも、参議院は地方の意見を国政に反映させたり、専門的な委員会でじっくりと法案を審議したりと、衆議院とは異なる形で日本の政治を支える重要な役割を担い続けています。

まとめ:参議院は日本の民主主義の歴史を映す鏡

参議院は、戦前の貴族院とは根本的に異なる、国民に選ばれた議院として、日本国憲法のもとで新たなスタートを切りました。その歴史は、まさに日本の民主主義が試行錯誤を重ねながら成熟してきた歩みそのものです。

次に参議院選挙のニュースを見聞きする時は、単なる選挙結果だけでなく、その背後にある歴史や、私たちの社会が参議院に託してきた期待に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。きっと、政治がもっと身近に感じられるはずです。

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