概要 グローバリゼーションと地域連合
20世紀末以降の歴史を見ていきます。具体的には、89年のベルリン崩壊以降の30余年の歴史を見ていく。日本でいうと、平成・令和時代に当たる。テーマはグローバリゼーションと地域統合である。
グローバリゼーションとは、貿易や金融・情報の自由化のことである。冷戦の終結とIT革命によって、急速に進んだ。グローバリゼーションは、2つの問題を表面化した。1つ目は、金融危機の世界規模への波及である。その代表例が、08年のリーマン・ショックである。2つ目は、格差の拡大である。この格差問題が移民排斥運動につながっている。
途上国では、中国やインドのように新たな経済大国になる国もあれば、貧困が続いている国もまだ存在する。
また、EUやAPECなどの経済統合も進んだ
ベルリンの壁崩壊と冷戦の終結
東欧革命
東欧革命とは、89年におきた東欧諸国の民主化の動きである。
きっかけは、前年88年3月のベオグラード宣言である。まず、最初に影響が出たのは、ポーランドとハンガリーである。1月に複数政党制の選挙(共産党以外の議員の出馬が可能な選挙)を実施。その後、東ドイツやチェコスロヴァキアへ波及。11月にベルリンの壁が崩壊した。そして、12月、ルーマニアでチャウシェスク夫妻が処刑。これにより、東欧革命は完了した。
ドイツは、翌90年3月にドイツ統一派が勝利。同90年10月にドイツは統一された。
ソ連解体
ソ連は、ペレストロイカが推進されていた。89年、議会で複数政党制を導入。90年に大統領制が導入された。
東欧革命を受けて、91年バルト三国で独立運動が展開。同91年8月、ソ連で保守派のクーデターが失敗。ソ連共産党は、解体。12月にソ連は解体した。
ソ連は、独立できた国と独立できなかった地域で民族運動が展開された。その1例は、カフカス地方のチェチェン紛争である。
90年代は、エリツィン大統領の時代。度重なる民族紛争や急速な市場経済化によって、支持は高くなった。00年にプーチン大統領が当選。資源価格高騰に伴う経済成長により支持が高まった。
14年、ウクライナで親EU政権が成立。これに対し、プーチン大統領はクリミア半島併合を実施。20年のウクライナ戦争につながる。
ユーゴ紛争
ユーゴスラヴィアも解体された。これにより、ユーゴスラヴィアでは多くの民族紛争が発生した。
地域統合
貿易の自由化交渉を行っていたGATTは、常設機関であるWTOに改組された。
ヨーロッパでは、EUが発足した。しかし、東欧の移民問題やギリシャ通貨危機、シリア難民問題で多くの問題を抱えている。さらに、イギリスがEU離脱した。
アメリカは、EUに対抗するため、NAFTAやAPECなどを発足させた。
開発独裁の崩壊
西側諸国
アジアの開発独裁国家は、経済成長期には問題がなかった。しかし、急速な経済成長は通貨危機を引き起こした。これにより、失業率が急激に上昇。この不満は、民主化デモへ向った。これにより、多くの開発独裁政権が崩壊した。
中国と東側諸国
中国では、鄧小平を中心に経済の自由化を進めていた。89年に東欧革命が起こると中国にで政治の民主化を求めるデモが起きた。これが天安門事件である。天安門事件は弾圧されたが、国際的に批判を受けた。
アジアの社会主義国も大きな影響を受けた。
現在も続く地域紛争
アジア・アフリカ地域では、現在も多くの紛争が行われている。
また、先進国でも移民などを中心としたテロが頻発している。01年に起きたアメリカ同時多発テロはその一例である。
アフリカ
中東・インド
9・11テロ
軍縮
現在の科学技術と文化
科学技術
アインシュタインの相対性理論 ▶ 原子力の登場(原水爆・原子力発電)・量子力学
石油の重要性が高まる。WWⅡ頃から、化学繊維やプラスチックが使われ始める。
20世紀初頭にライト兄弟が飛行機を発明。WWⅠでは、軍用機が登場。黄金の20年代には、リンドバーグが大西洋横断に成功。WWⅡには、空爆が行われた。戦後は、長距離飛行が可能になり、海外旅行が一般化された。
冷戦期には、宇宙開発も進んだ。ロケットや人工衛星の開発を巡り、アメリカとソ連が競争を展開した。
IT・バイオ
コンピューターはWWⅡ中から開発が始まった。冷戦期には、半導体の小型化と低価格化が進んだ。
90年代に入ると、パーソナルコンピューターの普及とインダーネットの民間利用が加わり、IT革命が起こる。
バイオ分野では、29年にフレミングペニシリンを発見。抗生物質の製造が始まる。
53年、DNAの構造が解明。73年、遺伝子組み換え技術が開発。動植物の品種改良が進み、農業分野に大きな影響を与えた。90年代に入ると、ヒトゲノムの解読計画が始まり。03年に解読は完成した。
環境問題 持続可能な世界へ
科学技術は、生活水準を大幅に向上させた。また、バイオ技術の発展により、人口も急増した。20世紀初頭では16億人の人口が、21世紀初頭には、70億円を突破した。
60年代に入ると、環境問題が表面化。72年に国連環境計画が作庭せれるが、翌73年の石油危機で一時棚上げされた。85年、オゾンホールを観測。地球温暖化の危機が指摘される。92年、リオで地球サミットが開催。二酸化炭素の削減の必要性を認識。97年の京都議定書で二酸化炭素削減の目標値が採択された。
また、新たな市民運動も展開された。消費者運動。男女平等を目指すフェミニズム。「ライフ=ワーク=バランス」。
思想・文化
哲学では、ニーチェのニヒリズム哲学。フロイトの精神分析学。
美術では、抽象の世界を描くダダイズムやシュールレアリスムが影響を持つようになる。
思想では、マルクス主義、マックス=ウェーバの官僚制が登場。アメリカでは、経験を重視するデューイらのプラグマティズムが台頭した。
20年代から大衆文化が成長した。ラジオ・テレビの普及。「ポップ=カルチャー」。IT革命が進むと仮想空間の閉じこもりが社会問題化する。
アメリカでは、ヨーロッパ文化が後退し、アフリカや先住民文化の影響が重視される。