2000年代のスペイン テロとバブル

前回の復習 2010年代のスペイン

 2010年代、スペインでは生前退位で新国王が誕生した。これは日本の生前譲位にも影響を与えた可能性がある。

 一方、経済は苦戦。リーマンショックをきっかけに不景気が続いている。今回は、この不景気の要因になった不動産バブルを見ていきます。

2000年代の国際情勢

 2000年代の国際情勢は、ニューヨークで起きた2つの事件をキーに進んでいく。

 01年の9・11同時多発テロ事件と08年のリーマンショックである。

 9・11同時多発テロは、アフガニスタン戦争やイラク戦争に繋がった。ヨーロッパではイスラム勢力によるテロが多発した。

 また、リーマンショックは、2010年代の世界を大きく変えた。中東ではアラブの春で長期開発独裁政権が次々崩壊。ヨーロッパでは、ギリシャ国債問題をきっかけにユーロ危機が発生した。

高度成長とバブル崩壊

高度成長と不動産バブル

 2000年代のスペインは、高度成長を続けていた。一方で、貿易赤字と不動産価格の高騰が問題になっていた。

ユーロの導入

 スペインは、70年代に民主化。80年代にEC(EUの前身組織)に加盟。これにより、フランス、ドイツなどの外国資本が流入し高度成長が始まった。

 00年代、共通通貨ユーロが導入。(銀行間が99年、完全導入が02年)外国資本の流入は、更に加速した。

 また、ユーロの導入により、スペイン独自で金融政策が取ることができない。これにより、好景気にも関わらず低金利がつづき、不動産バブルが発生した。

リーマンショック

 社会労働党のサパテロ政権は、好景気を背景に、08年の総選挙に勝利。続投が決定した。

 08年9月、アメリカでリーマンショックが発生。多くの金融機関が資金の引き上げに走った。

マドリード列車爆破テロ

概要

 04年3月11日、スペインのマドリードで列車爆破テロが行われた。当時の世界は、アメリカの9・11テロの直後でテロに対して過敏に反応がする状況にあった。

 この原因は、03年3月に始まったイラク戦争への反対運動と言われている。国民党のアスナール首相は、非常任理事国としてイラク戦争に賛同していた。

バスク問題

 バスク地方は、スペインの北部にある地域である。大西洋に面し、フランス国教沿いの地域である。バスク地方ではスペイン語ではなく、バスク語を話している。このバスク地方は、1950年代から独立運動が盛んになった。その一部が武装化した。

 マドリード列車爆破テロが起こると、真っ先に疑われたのは、この武装集団であった。

政権交代

 このテロは、総選挙の直前に起こった。このテロの影響でイラク戦争に賛成した国民党のアスナール首相に批判が集中した。小国民党は惨敗。政権交代が起こり、社会労働党のサバテロ政権が成立した。

 サバテロ政権は、スペイン軍をイラク戦争から撤退させた。

ユーロ導入による高度成長

反EUと移民

 現在のイタリアの政策の論点は、EUか反EUかである。EU支持派は、主に富裕層であり、反EUは主に中間層や貧困層である。では、なぜ中間層は反EUに動いたのであろうか。

 その理由の一つは、移民の問題である。00年以降、EUは東欧諸国に拡大した。これにより、東欧の出稼ぎ労働者が拡大した。これによって低所得者層の仕事を奪っていった。しかし、この影響を受けたのドイツなどの景気の良い国である。イタリアなどの景気の悪化のしている国は次の理由のほうが大きい。

景気対策への制限

 通常、景気対策としては3つある。減税、公共事業と金融緩和である。02年に通貨統合が行われた。これにより、イタリアは金融緩和を自由に行えなくなった。さらに、EUは財政赤字に上限が設定されている。イタリアの財政赤字は、すでに上限に達している。そのため、景気が悪くても、増税や緊縮財政をとらざるを得ない状況であった。

 民主党ら中道左派連合はこれを忠実に守ろうとした。一方で、五つの星運動は、これを破って財政出動して景気を良くしようとした。この政策によって、五つの星運動は、13年と18年の選挙で躍進した。

PIGs

 09年、ギリシャ財政の粉飾決算発覚をきっかけにギリシャ通貨危機が勃発した。リーマンショックの影響で、欧州の金融機関は。リスク資産を売ってユーロ加盟国の国債を購入していた。その中で人気があったのは財政赤字が多い高金利の国債であった。その国は、(P)ポルトガル、(I)イタリア。(G)ギリシャと(s)スペインである。これら四か国の頭文字をとってPIGsとよばれた。

 その中でも、影響が大きいのがイタリアである。この危機は現在でも懸念されている。金融界で最も懸念されているのが中国初が不況であるが、その次に懸念されているのがイタリアの財政破綻をきっかけとする金融危機である。

3つの小国

バチカン市国

 最後にコラム的に、別の内容をやっていきます。イタリア国内には2つの独立国があります。バチカン市国とサンマリノ共和国です。

 バチカン市国は、ローマ市内にある独立国である。ローマ=カトリックの総本山でサン=ピエトロ教会がある。

 かつてはイタリア中部一帯を統治していた。しかし、19世紀半ば、イタリア王国に併合。20世紀半ばに、現在の教皇庁が復活。現在に至る。

 国際連合にはオブザーバーとして参加。世界最小の国家である。面積は東京ディズニーシーくらいである。人口は800人くらいである。

サンマリノ共和国

 サンマリノ共和国は、イタリア中東部にある国である。世界で五番目に小さい国で面積は十和田湖と同じくらいである。人口は3万人強である。

 4世紀、隠れキリスト教徒がローマ帝国の迫害を逃れるために共同体を作ったのが始まりである。17世紀、中部イタリアを支配していたローマ教皇が独立を承認。イタリア王国もこれを追認し、現在に至る。

 サンマリノは、現在も中世の街並みが残っている。また、山頂から望むアドリア海は絶景である。なお、イタリアでではないので消費税がかかりません。

モナコ公国

 モナコは、フランス国内にある地中海に面した独立国である。面積は、東京ディズニーリゾート全体とほぼ同じ面積である。人口は4万人弱である。

 F-1やカジノで有名で、高級リゾート地としても知られている。