1980年代前半のイタリア 第二次マフィア戦争

前回の復習 1980年代後半のイタリア

80年代後半、東欧革命の時代。

社会党クラクシ政権

 社会党は、76年の総選挙に大敗。これを受けてクラクシ氏が書記長が誕生した。クラクシ書記長は、共産党から距離を置いた。これにより、83年に社会党政権を樹立した。

 経済政策では、社会党らしからぬ労働者に厳しい政策を行い経済成長を実現した。その一例が賃金の物価スライド制の廃止であった。外交政策では、政教分離を徹底した。また、欧州統合を積極的に進めた。

第二次マフィア戦争

概要

 第2次マフィア戦争とは70年代後半から90年代に初頭にかけて、マフィアに行われた数々の暗殺事件である。この暗殺には多くのイタリアの政治家が含まれていた。そのため、この事件はイタリア政界の大きな影響を与えた。

 当時の首相、共和党のスパドリーニ首相は、この鎮圧に苦慮した。

マフィアとは

 南イタリアのシチリア島を拠点とする組織犯罪集団のことである。日本でいう暴力団に近い存在である。

 19世紀末には、一部がアメリカへ移民。これによりこの集団のことが国際的に知られるようになった。

 始まりは、中世で自らの農地を守るために武装化したのが始まりである。19世紀に入り、イタリア王国が成立。シチリア島はさまざまの勢力に統治された過去からイタリア王国に不信感を抱いていた。そのため、組織的犯罪を繰り返すようになった。

民主党長期政権の崩壊

ロッジP2事件

 ロッジP2は、フリーメーソンのロッジの1つでイタリアに拠点を置いていた。反共産主義的活動を展開していた。60年代から70年代にかけて、南米で社会主義革命が進むと軍事独裁政権を支援した。

 これらの活動は、イタリア市民から支持を集めることはできなかった。フリーメイソンも70年代にロッジP2を破門した。民主党も、ロッジP2と対立。銀行との取引もできなくなった。

 80年8月、ロッジP2はボローニャ中央駅で爆破テロを実施。ロッジP2は完全に孤立した。この事件をきっかけに民主党が大敗。第二次世界大戦後からつづいていた民主党政権が崩壊。共和党政権が成立した。