2010年代のシリア・パレスチナ泥沼化するシリア内戦

2010年代の国際情勢

 日本は、平成の時代。2010年代は、東日本大震災で始まる。その後、安倍長期政権が成立。アベノミクスで景気が回復していく。

 世界は、リーマンショックが様々な形で影響を与える。EUではギリシャ通貨危機を引き起こす。中東ではアラブの春が起こる。

シリア内戦

シリアとは

 シリアは、中東にあるアラブ人国家である。主要宗教はイスラム教である。中東では、地中海沿岸のための古代から交易が盛んな地域であった。

 西は、地中海。北はトルコ。東は、イラク。南は、西(地中海沿岸)から、レバノン、イスラエル、ヨルダンがある。

シリア内戦

 2011年、政府軍と反政府軍による内戦が始まった。これがシリア内戦である。この戦争により、60年代以降、最大の難民を出した戦争である。

きっかけはアラブの春

 きっかけは、アラブの春である。アラブの春は、チュニジアのジャスミン革命を皮切りに始まった。アラブ諸国の民主化運動である。これにより、エジプトのムバラク政権などの開発独裁国家が次々崩壊した。

 シリアも、最初はデモ運動からであった。しかし、反政府側が武装化。デモ活動は、内戦へ発展していった。

アサド政権

 当時のシリアのアサド政権である。レバノン内戦によってアメリカとの関係は悪化していた。一方で、ロシアや中国の支援を受けていた。アサド政権はシーア派政権であるため、同じシーア派のイランの支援も受けていた。

反政府軍

 反政府側は、当初はデモ行進やハンガーストライキなど平和的な手法で政権交代を求めていた。しかし、反政府側も武装化していった。

 レバノン内戦で対立したアメリカやスンニ派のサウジアラビアやトルコが反政府軍を支援した。

泥沼化する要因① アメリカvsロシア

 では、シリアはエジプトのように短期間に政権移行が行われなかったのであろうか。

 1つ目は、アサド政権のバックにはロシア(プーチン大統領)がいたからである。一方で、アメリカは反政府軍を積極的に支援した。

 さらに、シーア派の代表であるイランはアサド政権を支援。一方で、スンニ派のサウジアラビアやトルコは反政府軍を支援した。

 その結果、シリア内戦は、アメリカとロシア、イランとサウジアラビアの代理戦争の様相を持っていた。

泥沼化した要因② 1枚岩になれない反政府軍

 2つ目の要因は、反政府軍の間での対立であった。反政府軍は開戦当初、国土の3分の2を制圧した。

 しかし、反政府側が分裂していった。当初の中心は、スンニ派軍人を中心とした自由シリア軍である。しかし、それ以外の勢力も参加した。

 アルカイダ系のISILやクルド人勢力も反政府側で参加した。

 ISILの勢力が拡大すると、アメリカなどはISILの勢力縮小へ動き出した。また、アメリカなどがクルド人勢力を支援するとトルコはアメリカから距離を置くようになった。 

ウクライナ戦争への遠因

 シリア内戦で、ロシアは再び、米と対立するようになった。

 さらに、アメリカがクルド人勢力を支援すると、トルコはソ連に接近していった。

 16年、トランプ政権が成立。シリア内戦から撤退。このとき、ロシアはクリミア併合を実施した。これが22年のウクライナ戦争へつながる。

イスラエル 現在も続くパレスチナ問題

イスラエルとは

 イスラエルは、中東の西部、地中海沿岸の国である。北はレバノンとシリア。西は、地中海。南はエジプト。西はヨルダンがある。

 ユダヤ教、キリスト教とイスラム教の聖地であるエルサレムがある。

パレスチナ暫定自治区

安保理がイスラエルに対して非難決議

トランプ政権、大使館を移転

ユダヤ人国民国家法

アラブ諸国との和平が成立

財政危機のレバノン

レバノンとは

 レバノンは中東の西にある地中海沿岸の国である。西は地中海で、北と東はシリアで、南はイスラエルである。

カルロス=ゴーンの逃亡先

 レバノンで日本人と関係の深いニュースは、カルロス=ゴーンの逃亡である。カルロス=ゴーン氏は、失われた10年の最中に日本に来日。瀕死の日産自動車を立て直した経営者である。

 18年、カルロス=ゴーン氏の私的流用事件で逮捕。翌19年、保釈中のカルロス=ゴーン氏は日本を密出国。出国先がレバノンであった。

 レバノンは、旧フランス植民地で、フランスのルノーを経営していた。

デフォルト

 90年代にレバノン内戦が終結すると、多額の資金をかけて経済復興を行った。カルロス=ゴーン氏が安全に生活できるほどのインフラが整備された。

 そのため、対外債務の残高が拡大。20年にデフォルトを興した。

ベイルート港大規模爆発

 レバノンの首都は、ベイルートという港街である。20年に大規模な爆発事故が発生。