中世

 中世は、イスラム教の成立から、大航海時代直前までの歴史を見てきます。この時代は宗教が重要視された時代である。そのため、イスラム教圏(西アジアなど)、キリスト教圏(ヨーロッパ)、それ以外の地域に分けてみていきます。

 この時代は、7世紀から15世紀に当たる。日本史でいえば、7世紀は飛鳥時代に当たり、15世紀は室町時代に当たる。奈良・平安の律令制の時代と鎌倉・室町の封建制の時代がこの時代に当たる。

中世の論点

イスラム教が世界史に及ぼした影響

 中世の始まりは、7世紀のイスラム教の成立である。イスラム教は、西は、北アフリカやスペイン、南はアフリカ内陸部やアフリカ大陸東岸、東は中央アジア、インドや東南アジアまで広がった。

 これらは、アラビア文字を使っていた。キリスト教徒違い、商人の宗教のため異教徒に対して寛容な宗教でもあった。

 イスラム教は、ヨーロッパやアジアにも大きな影響を与えた。イスラム勢力は、ヨーロッパへ侵攻。一方で、ペルシャを占領。多くの難民が唐の長安へ向った。これにより、長安は国際都市になった。また、中央アジアが中国王朝からイスラム圏に代わることで、中国の中心都市も内陸部の長安や洛陽から中国東部の開封や北京に変わった。

東欧と西欧、十字軍

 キリスト教は、中世になるとローマ帝国の国境になった。そのような中、キリスト教は東西に分裂した。ロシアやギリシャなどで信仰されている東方正教会と、イギリス、フランスなどで信仰されているローマ=カトリックである。

 西ローマ帝国が滅亡すると、ローマ教会は西ヨーロッパの統合の象徴としての存在になった。その後、皇帝や国王の権限が強くなると叙任権闘争が始まった。

 しかし、十字軍の失敗やペストの流行でローマ教会の権威は衰退。そして近代へ向っていく。

モンゴル帝国

 唐王朝が衰退すると、アジア諸国は独自の文化を形成し始める。イスラム教の影響と受けなかった日本や朝鮮半島では仏教の信仰が大きくなった。

 中国では、宋王朝が復活すると、科挙が復活。儒教が重要な地位を占めるようになる。

 その後、ユーラシア大陸の大部分を占めるモンゴル帝国が成立。アジアの大部分の国が滅亡した。

教科書の流れ

イスラム教

 中世は、宗教を基準に3つのエリアに分割してみていきます。最初は、イスラム教圏の歴史を見ていきます。このエリアは、西アジア(オリエント)をはじめとして、アフリカ、インド、東南アジアまでを見ていきます。

 前半では、イスラム教の成立から、地方政権へ分裂する過程を見ていきます。後半では、イスラム教圏のエリア史をみていき、最後に文化を見ていきます。

キリスト教

 2番目は、ヨーロッパ史を見ていきます。ヨーロッパは、東欧と西欧に分けて、西欧は、前半(ローマ教皇の権威が高まる時期)と後半(ローマ教皇の権威が衰退していく時期)に分けて見ていきます。

宋王朝とモンゴル帝国

 最後に中国史を見ていきます。扱うのは、宋王朝とモンゴル帝国です。とくに13世紀に成立したモンゴル帝国はヨーロッパ史や西アジアの歴史にも大きな影響を与えていきます。

時代区分

モンゴル帝国と十字軍

イスラム教の成立と拡大