党三役って何?

 9月29日、岸田新総裁が誕生。10月1日に、党三役が発表されました。では、党三役とは何でしょうか。

党三役とは

 党三役とは、自民党幹部の総称である。幹事長、総務会長と政調会長の役職を指します。たまに、これに選挙対策委員長を加えて党四役と表現することもあります。

党三役は何故先に発表されるの?

 自民党の総裁には、2つの顔があります。自民党のトップの顔と総理大臣の顔である。

 自民党の総裁は、総裁選は総裁選挙で選ばれますが、内閣総理大臣は国会で改めて指名されます。本日(10月3日)時点で、自民党の総裁は、岸田新総裁ですが、総理大臣は菅首相のままです。明日、10月4日の臨時国会で指名されて初めて岸田新首相が誕生することになります。その後、閣僚が正式に発表されることになります。

幹事長とは

 幹事長は、総裁、副総裁に次ぐ3番目のポジションである。しかし、総裁は総理大臣で忙しく、副総裁も常設のポストではないので、事実上の党のトップである。

 幹事長は、公認権(選挙で公認を与えるか否かの判断をおこなう)をもち、党の財政や党の人事も管理する。党のスポークスマンの役割を持つ。

 その使命は主に3点ある。1つ目は自民党を選挙で勝たせることである。

 2つ目は、国会対策である。総裁に代わり、国会の議院運営員会や党の国会対策委員会を通じて野党と交渉し、スムーズな法案成立を行い、総裁を支える。

総務会長

 総務会長とは、総務会のトップである。本来は総務会で決定されるが、慣習として総裁が指名している。

 総務会とは、党の運営や自民党員の国会活動についての重要事項を決定する機関である。幹事長などの党の人事も総務会の決議事項であるが、総裁に一任することが慣習になっている。

 総務会の最大の権限は党議拘束である。党議拘束とは、国会での表決行動をあらかじめ決めることである。これに違反すれば、除名などの処分を受けることになる。

 総務会長は、長老級の派閥の領袖たちを納得させるのが仕事になる。そのため。調整型や長老級の政治家が就くことが多い。また、メディアへの露出が少ないため、苦労の割には目立たないポジションである。

政調会長

 政調会長は、政務調査会のトップである。

 政務調査会は、党の政策の立案が仕事になる。国会に提出する法案は、政務調査会の審査を経なければならない。

 政務調査会は、国会議員だけでなく学識経験者も参加している。

 政務調査会は、部会と呼ばれる下部組織をもっている。これは国会でいう委員会に相当するもので、外交や国防などテーマごとに設置されている。自民党の国会議員は部会に参加して法案の作成を行っている。

法案の流れ

 法律は、自民党の部会で立案。自民党政務調査会で審査。自民党総務会で承認を得た後に、閣議に挙げられる。閣議決定を経て国会に提出される。

 その後、衆議院の委員会、衆議院の本会議、参議院の委員会、参議院の本会議でそれぞれ審議を得て法律になる。

副総裁

 副総裁は、文字通り党のNo2である。これは任意で設置するポストである。総裁に代わり、幹事長などの党幹部を管理監督するポジションである。最高顧問ともいえる役職である。

 80年代から90年代前半にかけては、最大派閥の田中派や竹下派の長老が総理のお目付け役としてこのポジションに就いた。

 00年代以降は、論功行賞として中間派閥の劉秀が就くことが多い。今回も麻生派のトップである麻生氏が就任した。

選対委員長

 選挙対策委員長は、国政選挙を取り仕切る役職である。

 00年代に発足した新たな役職である。選挙対策はもともと幹事長の下にある総務局の仕事であった。

 06年の安倍総裁時に、幹事長の下に選挙対策総局を設置。菅首相も選挙対策総局の局長を務めた。

 07年、福田総裁時に、ポスト不足から選挙対策総局を選挙対策委員会に格上げ、幹事長から選挙に関する権限を分離した。初代委員長は古賀派(後の岸田派)の古賀氏であった。

 古賀委員長は、09年の都議選の敗北により、辞任。後任人事がなかなか決まらず空位に。理由は、逆風の衆議院選挙が近かったからである。

 その後、選挙対策委員会は選挙対策総局に格下げ。

 12年に、再び選挙対策委員会が復活。現在に至る。

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