【参院選2025】日本の政治史を紐解く:公明党と共産党

公明党と日本共産党は、日本の政治史において独自の道を歩んできた主要な政党です。その歴史を紐解くことで、両党が日本の民主主義と社会に与えてきた影響を理解することができます。


公明党の歴史:信仰を基盤とした政治の歩み

公明党は、創価学会という仏教系の新興宗教団体を支持母体として、1964年に結成されました。そのルーツは、1950年代に創価学会が始めた「折伏(しゃくぶく)」運動と、それに続く地方議会選挙への進出にあります。

  • 結成と初期の躍進(1964年〜1970年代): 「大衆とともに」をスローガンに掲げ、清潔な政治、生活者の視点に立った政策を重視しました。特に公害問題や福祉政策において積極的に提言を行い、都市部を中心に支持を広げ、国政でも議席を伸ばしていきました。
  • 「言論出版妨害事件」と試練(1969年〜1970年): 創価学会を批判する書籍の出版を妨害したとされる事件が発覚し、公明党の政教分離原則が問われ、大きな逆風に直面しました。これ以降、政教分離の厳格化に努める姿勢を明確にしていきます。

90年代以降の公明党

  • 連立政権への参加と役割(1990年代後半〜現在): 1993年の細川内閣での非自民連立政権への参加した。これにより、初の与党入りを果たす。その後、新進党に参加した。98年参院選で自民党が敗北し、ねじれ国会が成立。翌1999年、自民党との大連立を巡り、新進党が解党。公明党は復活した。小沢自由党とともに、自自公連立政権を成立させた。このときに、自民党に飲ませたのが、「地域振興券」である。以後、自民党との連立政権の一翼を担っています。連立政権内では、福祉、教育、中小企業支援などの分野で政策を実現し、また、平和主義の立場から安全保障政策においても独自の主張を展開してきました。創価学会を支持母体とする強固な組織票を背景に、政権の安定に貢献しています。特に、安全保障関連法の成立や、消費税増税時の軽減税率導入などで存在感を発揮しています。

公明党は、その信仰を基盤とするという特殊な成り立ちから、常に政教分離の原則との向き合い方が問われてきましたが、福祉や生活に密着した政策を重視することで、一定の支持を維持し続けています。

ここからは、個人的な見解だが、創価学会は、高度成長期に田舎から都市へ移住した人の心の支えの一つになっていた。その影響から、公明党は、都市部に大票田を持っている。また、80年代から90年代にかけては、都市労働者を支援する政策を進めていた。しかし、現在は、支持層の高齢化と富裕化が進んでいる。


日本共産党の歴史:革命から議会主義への変遷

日本共産党は、1922年に非合法組織として結成されました。マルクス・レーニン主義を掲げ、社会主義革命による社会変革を目指してきた、日本の政党の中でも最も長い歴史を持つ政党の一つです。

  • 結成と弾圧の時代(1922年〜1945年): 戦前の日本では、治安維持法によって厳しく弾圧され、多くの党員が逮捕・投獄されました。非合法下での活動を余儀なくされ、党の存続自体が困難な時期が続きました。
  • 戦後の合法化と再出発(1945年〜1950年代): 敗戦後、GHQ(連合国軍総司令部)の指示により合法化され、政治の舞台に登場しました。しかし、1950年代には武装闘争路線を一時的に採用した「50年問題」と呼ばれる内部分裂や、それに続く「破防法適用問題」などで再び試練に直面しました。
  • 「独立自主」路線の確立と議席増(1960年代〜1980年代): 1960年代には、ソ連や中国共産党から距離を置いた「独立自主」路線を確立し、国民の生活向上や民主主義の擁護を訴えることで支持を拡大しました。公害問題や消費者問題にも積極的に取り組み、国政選挙でも議席を増やし、革新自治体形成の一翼を担いました。

90年代以降の日本共産党

  • 社会主義の停滞と現在の共産党(1990年代〜現在): 東欧革命やソ連崩壊など、世界の社会主義の潮流が変化する中で、共産党もその存在意義が問われることになりました。しかし、バブル崩壊後の経済格差拡大や、原発問題、憲法改正議論など、現代日本の課題に対して積極的に提言を行うことで、一定の支持を集めています。近年では、護憲、平和、格差是正、原発ゼロなどを主要政策に掲げ、特定のイデオロギーに捉われず、幅広い市民層への浸透を目指しています。市民連合との連携など、他の野党との共闘も模索しながら、日本の政治において重要な存在感を示しています。特に、2014年衆院選や2016年参院選では、議席数を大きく伸ばし、その存在感を示しました。

日本共産党は、その歴史の中で幾度となく弾圧や試練に直面しながらも、一貫して資本主義社会の変革を訴え続けてきました。近年では、議会内での活動を重視し、国民の世論に訴えかけることで、社会の変革を目指しています。

公明党と日本共産党、その成り立ち、支持基盤、そして目指す社会像は対照的ですが、両党の歴史は、日本の政治、社会、そして民主主義のあり方を考える上で欠かせない要素と言えるでしょう。

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