【参院選2025】参議院選挙制度の変遷:なぜ、2回投票するの?

参議院選挙制度の変遷:移り変わる「一票の形」

いよいよ7月がスタート!今年も後半戦に突入ですね!夏本番を迎え、セミの声も聞こえ始める頃、私たちの暮らしにめちゃくちゃ大事なイベントが、もうすぐやってきます。そう、日本の未来を決めるかもしれない「参議院選挙」です!

日本の政治って、衆議院と参議院の二つの議会で動いてるんだけど、特に参議院選挙って、ちょっと独特な歴史と、しょっちゅう変わるルールがあるんです。今回は、「あなたの1票って、どうやって形を変えてきたの?」ってことを、参議院の選挙制度の歴史をざっくり見ていきましょう!

参議院選挙の仕組みってどうなってるの?

まず、参議院の選挙の基本的な仕組みから見ていきましょう!参議院議員を選ぶ選挙は、大きく分けて2つの部分から成り立っています。

  • 選挙区選挙(都道府県単位):これは、私たちが住んでいる都道府県ごとに候補者を選ぶ選挙です。候補者の名前を書いて投票します。当選するのは、その選挙区で一番多くの票を集めた人たちです。都道府県の人口によって、選ばれる議員の数は変わってきます。
  • 比例代表選挙(全国単位):こちらは、全国を一つの大きな選挙区として行われます。ここでは、「特定の候補者の名前」だけでなく、「政党の名前」か、「候補者の名前」を書いて投票します。選挙は2段階におこなわれます。まず、各政党が得票数(政党での得票数+各候補者の得票数の合計)に応じて議席数を獲得します。つぎに、各政党内で選挙がおこなわれます。個人での得票数の多い順に当選します。つまり、「政党の名前」で投票することは、政党内の選挙を棄権することを意味します。

この二つの方法で選ばれた議員が、合わせて参議院を構成するんです。

衆議院と参議院の選挙、何が違うの?

日本の議会は衆議院と参議院の「二院制」だけど、その議員を選ぶ選挙のやり方は結構違うんですよ!

  • 任期と解散:
    • 衆議院: 任期は4年だけど、「解散」があるので、途中で選挙になることが多いです。
    • 参議院: 任期は6年で、解散はありません。3年ごとに半分の議員が入れ替わる「半数改選」という仕組みです。だから、衆議院よりもじっくり腰を据えて議論ができる「良識の府」なんて言われたりもします。
  • 選挙制度の構成:
    • 衆議院: 「小選挙区制」(1人しか選ばれない)と「比例代表制」の組み合わせです。
    • 参議院: 「選挙区制」(都道府県単位で複数人選ばれる場合も)と「比例代表制」(全国単位)の組み合わせです。衆議院とは選挙区の選び方や定数の配分が異なります。
  • 選挙区選挙の違い
    • 衆議院:都道府県を更に細分化した選挙区。各選挙区1名しか当選できない。そのため、大政党しか出馬できない。
    • 参議院:選挙区は都道府県単位。東京など大都市は複数名が当選できる。そのため、大都市では、中小の政党も出馬することがある。
  • 比例代表制の違い
    • 衆議院:全国を11ブロックに分けて実施。選挙区と併願が可能です。小選挙区の結果(惜敗率)と政党が決めた順位で当選者が決まる。
    • 参議院:全国の1ブロックのみ。選挙区選挙との併願はできません。政党は、順位を決めることできません。当選者の決め方は後述。
  • 非拘束名簿式:参議院の比例代表選挙は、2つの選挙を同時に行うシステムです。投票する時は、「政党の名前」もしくは「比例代表に出馬している候補者の名前」どちらでも投票が可能です。まず、比例代表選挙で得票数に応じて政党に議席を配分します。このときの得票数は、政党で得た得票数に各候補者の得票数も上乗せされます。つぎに、政党内で選挙を行います。得票数の多い順に当選します。「政党の名前」で投票することは、政党内での選挙を棄権することを意味します。
  • 一票の重み:参議院選挙では、衆議院よりも「一票の格差」が問題になりやすい傾向があります。これは、都道府県単位の選挙区があるため、人口が少ない県の1票が、人口が多い都市部の1票よりも結果的に重くなることがあるからです。

参議院の選挙制度って、どんな影響があるの?

参議院の選挙制度って、日本の政治にいろんな影響を与えてるんですよ。

  • 「ねじれ国会」のリスク:衆議院と参議院の選挙が別々に行われ、任期も違うことから、選挙の結果、衆議院では与党が多数なのに、参議院では野党が多数になる「ねじれ国会」が起こることがあります。こうなると、政府が法案を通すのが難しくなったり、政治が停滞したりすることも…。
  • 多様な意見の反映:比例代表制があることで、小さな政党でも全国で一定の票を集めれば議席を獲得しやすくなります。また、選挙区制と組み合わせることで、地方の特定の課題を抱える層の意見も国政に届けやすくなる、という側面もあります。
  • 「良識の府」としての役割:衆議院のような解散がないため、短期的な政局に流されず、中長期的な視点でじっくりと法案を審議したり、専門的な知識を持つ議員が活躍したりしやすいという期待も込められています。

さあ、参議院選挙の仕組みがざっくりわかったところで、次は歴史を深掘りしてみましょう!

最初は「全国区」と「地方区」の二刀流だった!

参議院が生まれた1947年、選挙のやり方はけっこうユニークでした。

  • 全国区: 日本全体がひとつの選挙区!候補者の名前を書いて投票するシステムでした。これだと、タレントさんとか、めっちゃ有名な人なんかがポンポン当選しちゃいました。目的は、日本中のいろんな「いい感じの意見」を参議院に集めることだったみたい。
  • 地方区: 各都道府県が選挙区。ここでも候補者の名前を書いて投票する感じでしたね。こっちは、それぞれの地域の意見をちゃんと国に届ける役割があったんです。

この「全国区」と「地方区」の組み合わせは、「衆議院とは違う、ウチはウチ!」っていう参議院のこだわりだったと言えるでしょう。

全国区って、ぶっちゃけどうだった? → 比例代表制登場!

でもね、全国区、いろいろ問題が出てきちゃったんです。

  • 「タレントばっかりでいいの?」問題: 俳優さんとか歌手、スポーツ選手とか、政治の経験が全然ないのに知名度だけで当選する人が増えちゃいました。「ホントにこれで『良識の府』って言えるの?」って声が上がったんです。ちゃんと仕事できるの?って。
  • お金かかりすぎ&めんどくさい問題: 日本全国にアピールするって、そりゃもうお金が湯水のようにかかります。ポスターもテレビCMも、とんでもない費用です。だから、お金持ちの候補者とか、強力な組織票があるところが有利になっちゃう。それに、いちいち候補者の名前を手書きするの、集計がめちゃくちゃ大変だったんです。
  • 「政治って信用できる?」不信感モリモリ時代: 1970年代後半から80年代にかけて、ロッキード事件みたいな政治のお金にまつわるスキャンダルが多発し、国民の政治への信頼がドン底に。こんな中で、全国区の問題って、「やっぱり政治ってダメじゃん…」って思われちゃう原因の一つになっちゃったんです。

こんな課題をなんとかしよう!もっと国民の声をちゃんと反映させよう!ってことで、1983年比例代表制が導入されることになりました。全国区はなくなって、政党名に投票する全国比例代表制と、これまで通りの地方区の組み合わせになったんです。

1980年代初めのニッポンって、どんな感じだった?(比例代表制導入の裏側)

1980年代の日本は、まさにバブル前夜!高度経済成長を経て、社会がどんどん豊かになって、みんなの考え方も多様になってきた時代でした。

  • 「みんなの声がバラバラ!」時代: 経済が成長するにつれて、国民の価値観やライフスタイルも多様化。昔みたいに「保守か革新か!」みたいなシンプルな二択じゃなくて、いろんな意見や要望がわんさか出てきたんです。
  • 「自民党だけじゃないぞ!」野党も頑張る時代: ずっと自民党が強かったけど、社会党、公明党、民社党、共産党なんかの野党もそれなりに力を持ってきて、時には手を取り合って自民党に対抗する動きも。こうなると、「各政党が取った票の割合を、そのまま議席に反映させる」比例代表制に期待が集まったわけです。
  • 「選挙のやり方変えろ!」って声がデカくなった時代: 「タレント候補」問題や高すぎる選挙費用、政治家ってズルいんじゃない?って疑心暗鬼になった国民から、「選挙のルールをちゃんと公平にしてくれ!」って声がどんどん大きくなりました。政治家たちも、「このままじゃヤバイ!」って思って、透明でフェアな制度に変えなきゃって考え始めたんです。

こんな状況の中、いろんな政党で話し合いが重ねられて、最終的に全国区を廃止して、政党に投票する「比例代表制」が導入されることになりました。これによって、いろんな意見が国会に届きやすくなって、選挙ももっと公平になったんですよ。そして、政党が主役の選挙戦になっていったんです。

非拘束名簿式(ひこうそくめいぼしき)の導入:有権者が直接選べる喜び!

2001年の参議院選挙から、比例代表制に「非拘束名簿式」が導入されました。これは、有権者が政党名だけでなく、その政党が提出するリスト(名簿)に載っている「個別の候補者の名前」も書けるようになったんです。

【背景】

それまでの比例代表制(拘束名簿式)は、政党が決めた名簿順に当選者が決まるので、「政党が誰を当選させたいか」が強く反映されていました。でも、それでは「国民が直接選びたい候補者」の声が反映されにくいという批判があったんです。1990年代の政治改革の流れの中で、「もっと国民が政治に直接関われるようにしよう!」という声が高まり、その一環として非拘束名簿式が導入されることになりました。衆議院の小選挙区比例代表並立制導入(1994年)も、国民と候補者の結びつきを強める狙いがあったので、その流れとも連動しています。

【影響】

この非拘束名簿式の導入は、私たち有権者にとって大きな変化でした。

  1. 「この人がいい!」が反映されやすく: 政党の得票数に応じて議席が配分されるのは変わらないけど、その議席を誰が獲得するかは、候補者個人の得票数も加味されることになりました。これにより、「この政党は応援したいけど、この候補者も推したい!」という気持ちがより反映されやすくなったんです。
  2. 候補者も頑張る!: 候補者たちは、政党の人気だけでなく、自分自身の魅力や実績で票を集める努力が必要になりました。同じ政党内の候補者同士でも、個人票の獲得競争が激しくなったと言えるでしょう。
  3. 政党の戦略も変化: 政党は、全体の票を集めるだけでなく、国民にアピールできる個性的な候補者を名簿に載せるなど、候補者の顔ぶれについても戦略を練るようになりました。

「一票の格差」とのバトル!終わらない改革の歴史

参議院選挙の歴史で、ずーっと大きな問題なのが「一票の格差」です!田舎と都会じゃ、一票の重さが全然違うじゃん!って問題で、これって憲法で決められた「投票の価値は平等!」ってやつに反してるんじゃないの?ってことで、何度も最高裁で「これじゃダメだ!」ってお墨付きをもらってきました。

この「格差問題」をなんとか解決しようと、参議院の選挙制度は何度もイメチェンを繰り返してきました。

 一票の格差とは、人口に対する政治家の人数が田舎と都会で違いすぎるということです。田舎のA県は、人口100万人で当選者1名に対し、都市部のB県は1000万人で当選者が3名みたいなことがありました。同じ比率にするには、B県の当選者は10名でなければありません。

 なぜ、一票の格差が生じたのでしょうか。それには、2つの理由があります。1つ目は、都市への人口流入です。昔は平等な当選者数だったが、人口移動によって一票の格差が生じたことによります。2つ目は、都道府県間の人口格差です。東京都と鳥取県では20倍以上の人口格差があります。鳥取県で1名の当選枠をつくると、東京都は、20人以上の当選者枠が必要です。

  • 合区(ごうく)の導入: いくつかの県をくっつけて、一つの選挙区にしちゃう「合区」が登場!これによって、過疎地域の票の価値を保ちつつ、格差をなくす努力が始まったんです。2015年の参議院選挙から始まりました。
  • 比例代表定数の見直し: 比例代表で選ばれる議員の数とか、選ばれ方が細かく調整されて、もっと公平に議席が割り振られるように工夫されました。
  • 特定枠(とくていわく)の導入: 2019年の参議院選挙から始まったのが「特定枠」。これは、比例代表のリストの一番上のほうに、政党があらかじめ「この人を当選させたい!」って決めた人を優先的に当選させる仕組みです。全国的な知名度がなくても、専門家や地元に貢献してる人が政治家になれるようにって始まったんです。この背景には、合区の導入によって選挙区を失った政治家への救済措置の意味合いもあったようです。

 一票の格差とは、人口に対する政治家の人数が異なることです。田舎のA県では、300万人で1名の政治家に対して、都市部のB県では3000万人対して

これからも変わる「一票の形」:民主主義って奥深い!

参議院の選挙制度は、「国民の代表ってどうあるべき?」「地方の声、ちゃんと届いてる?」「みんなの一票、平等になってる?」っていう、憲法からの宿題に答えるために、常に形を変えてきました。それぞれのルール変更の裏側には、その時代の政治や社会の問題、そして「こんな民主主義がいいな!」っていう願いが隠されているんです。

この「一票の形」がどう変わってきたかを知ると、「あれ?私の一票って、こんな意味があったの?」とか、「もっといい政治のために、何ができるんだろう?」って考えるきっかけになりますよ。次の参議院選挙の時も、それぞれの政党や候補者がどんな選挙制度のアイデアを出しているのか、ちょっと気にしてみてはいかがでしょうか!

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