紀元前7世紀以前のシリア・パレスチナ フェニキア人・アラム人・ユダヤ人

前回の復習 6世紀のシリア・パレスチナ

 2世紀のシリア・パレスチナは、属州としてローマ帝国の支配を受けていた。

 第二次ユダヤ戦争に敗北したユダヤ人は、パレスチナを追われ、ローマ帝国各地に離散した。これをディアスポラという。

紀元前2世紀の国際情勢

 紀元前2世紀(BC200年ーBC101年)の日本は、弥生時代。世界は東西2大帝国の時代。

 中国では、光武帝が漢王朝(後漢)を再興。ヨーロッパでは、ローマ帝国が成立していた。

地中海東岸の3民族

 シリア・パレスチナ(地中海東岸)地方を見る上で、3つの民族に注目したい。フェニキア人、アラム人とヘブライ人である。

 フェニキア人は、地中海沿岸(シリア・パレスチナ西部)のシドン・ティルスに都市国家を建設。海上交易で繁栄する。地中海や黒海沿岸に多くの植民都市を建設した。表音文字であるカナーン文字からフェニキア文字を発明。これがギリシャ文字や英語などのアルファベットの原型になっている。

 アラム人は、内陸部(シリア・パレスチナ東部)に多くの都市国家を建設した。その中心がダマスカスである。メソポタミア(イラク)などとの陸上交易で繁栄した。楔形文字をベースにアラム文字を発明。アラビア文字などの原型になった。

 ヘブライ人は、遊牧で生計を立てていた。紀元前6世紀にユダヤ教を進行するようになる。

紀元前7世紀 シドン市の破壊

アケメネス朝とは

 紀元前626年、旧約聖書では、預言者エレミヤが活動していた。

 紀元前677年、フェニキア人の拠点であるシドン市が破壊される

 第二神殿は、6世紀に再建されたユダヤ教の神殿である。現在は、イスラム教の聖地である岩のドームがあり、ユダヤ教徒はそこには入れない。

 2世紀、ユダヤ人は第2次ユダヤ戦争に敗北。エルサレムから追放された。しかし、4世紀、コンスタンティヌス大帝により、年1回の嘆きの壁での礼拝が認められるようになった。

紀元前8世紀 イスラエル王国の滅亡

 紀元前722年、イスラエル王国がイランのアッシリア王国に征服される。旧約聖書では、預言者イザヤが活動していた時期とされている。

 アラム人は、アッシリアという統一国家の誕生により、活動が縮小していく。

 また、フェニキア人は、ギリシャ人の登場により、地中海全域で覇権争いを開始する。この頃、フェニキア文字がギリシャ人に伝わる。これが、ギリシャ文字や英語などヨーロッパ系表音文字アルファベットの原型になる。

紀元前9世紀 カルタゴの建設

 紀元前814年、フェニキア人が北アフリカ(チュニジア)にカルタゴを建設。西地中海への拠点が完成した。

紀元前10世紀 ヘブライ王国の時代

 紀元前922年、ソロモン王がなくなると、ヘブライ王国は、南北に分裂した。イスラエル王国とユダ王国である。

 紀元前960年、2代目国王ソロモン王の時代に入る。

 紀元前10世紀、ユダヤ人国家ヘブライ王国が建設される。初代国王は、ダヴィデ王である。都は、イェルサレムである。

紀元前1000年以前 預言者モーセの出エジプト

 紀元前1100年頃、アラム人の交易活動が盛んになる。ダマスカスを中心に陸上交易で栄えた。楔形文字から、アラビア文字の原型であるアラム文字を使用が始まった。

 紀元前1150年頃、フェニキア人の活動が盛んになる。フェニキア人は、シドン・ティルスを中心に海上交易で栄えた。フェニキア人は、カナーン人の文字をベースに線状のフェニキア文字を作成。

 紀元前1200年頃、アラム人がシリア内陸部(東側)にいくつもの都市国家を建設。その中心になったのがダマスカスであった。

 紀元前13世紀頃、旧約聖書によると、預言者モーセらがエジプトを脱出した。

 ギリシャ・エーゲ海方面では、「海の民」と呼ばれる人が進出。これにより、エジプト、ヒッタイト(トルコ)の勢力が後退。セム語系のアラム人、フェニキア人、ヘブライ人が歴史の表舞台に登場する。また、「海の民」によって、地中海交易の中心が、クレタ・ミケーネ(クレタ・ミケーネ文明)にかわって、フェニキア人にかわる。

 紀元前14世紀、エジプトでアトンホテブ4世の宗教改革が行われる。一時的に一神教が行われる。これがユダヤ教の考え方に大きな影響を与えたと推測される。

 紀元前1500年頃、セム語系のカナーン人が交易で活躍した。カナーン人は表音文字を使用した。遊牧民であるヘブライ人がパレスチナに定住。その一部はエジプトへ移住した。

 紀元前2800年頃、フェニキア人がエジプトと交易した。